こんにちは。足柄上商工会の事務局長を務めております津田です。今回は私が2023年度 後期「チームiCHiアカデミー ソーシャルプロデュース講座」を受講した感想や実際の取組みについてご紹介します。
足柄上商工会について
足柄上商工会は、神奈川県の西部に位置し、足柄平野の中の中井町・大井町・松田町・開成町の4町を管轄エリアとする広域型商工会です。

商工会とは、商工会法に基づいて設立された公的団体であり、具体的な取組みとしては、日本政策金融公庫への融資推薦や、ものづくり補助金事業計画策定、確定申告、商品開発、販路開拓などの事業者支援のほか、町行政と協力しながらよさこい祭や花火大会、ちょい呑みイベント等の催し、プレミアム商品券による消費喚起等を行っています。
創業者含め個人経営者から中小企業までを対象に、経営計画・事業計画の策定から資金繰り支援(融資等)、労働保険や経理(記帳)・確定申告まで経営に関することなら何でも支援をしているところです。
お祭りで商工会の名前を見かけることが多くあると思いますが、そのイベント開催の目的の1つとして、商工業者の発展と地域の公共の福祉への貢献が挙げられます。
これまでの地域活性化へ向けた取組み
様々な取組みを行ってきましたが、大きな事例の1つは、「Ooi Sweets Selection」という大井町の農産物を使ってスイーツを作るという企画です。大井町の農作物の美味しさをより多くの方に広めようと、町内のパティシエ、ブーランジェ、和菓子職人などとともに、農作物の良さが引き立つスイーツを開発しました。2012年に走り出した企画ですが、地元スイーツを使った町のスイーツ開発は、今も継続して続けられており、次々と新作が生み出されている状況です。その過程の中で、当時は認知度が低かった「フェイジョア」という、今は町の特産となった果実も掘り起こしました。現在もフェイジョアの認知度向上のため、継続的にフォローを行っております。

また、一般の認知度が低かった「足柄牛」の更なるブランド化を目指した「足柄牛弁当」を企画した事例もあります。横浜高島屋のお弁当フェアでは、わずか3分で弁当100食を完売させ、足柄牛のブランド化に大きく貢献しました。
経済産業省・中小企業庁の支援事業であるふるさとプロデューサー研修に参加した際には、広島県福山市での取組みにも参画しました。
広島県福山市笠岡町では、かつて映画館「大黒座」があり地域が非常に栄えていたのですが、映画館がなくなってからは、本通り商店街をはじめとした地域が廃れていってしまっているという状況がありました。
その際、本通り商店街の再活性のための動きがあり、当時の映画館横の長屋を改装し飲食店のインキュベーション施設の役割も兼ね備えた飲食店街「城下横丁」の立ち上げプロジェクトに参画させていただきました。
飲食店が集えるようなインキュベーション施設を作ることで、創業者を産み、呼び込み、さらに発展するような施設を目指したこのプロジェクトの理念は、「人作り街づくり」であり、単なる活性化だけではなく、地域を支えていく人を育成するというプログラムでした。

受講したきっかけと感想
受講したきっかけとしては、地域活性化の学び直しができるかなという想いと、また取組みに対する新たなヒントになるかな、と漠然に考え参加しました。
自身のテーマとして想定していたのは、かつて自分が仕掛け、現在は共通のテーマで各町行政が動き出している「地酒」でした。足柄上地域には4つの蔵元が現存し、それぞれ地域を巻き込んで催しを行っています。
1つの酒蔵にフォーカスするだけでなく、「酒」という文化をテーマに観光誘客を呼び込むための呼びかけを行ったところ、松田町、大井町、開成町は乾杯条例を制定してくれ、事業展開をするメンバーが集ってくれたりもしました。受講を決めた当時は、広域連携の商工会だからこそできる、次に仕掛けるべき大きな一手は何かについて探せればいいな、などと考えていました。
実際の受講時には、3人のチームでワークに取り組み、それぞれがプランを出し合って1番いいものをブラシュアップしていこうという形になりました。私のグループでは、秋田県大館市からの参加者の方がおり、阿仁マタギと忠犬ハチ公を軸に、縄文ツーリズムとして人を呼び込む仕組みづくりを作り上げていくことになりました。
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訪れたことのない地域であっても、参加者が各地域で実際の取組みを行っている方々なだけに、着眼点も自在で、回を重ねるごとにプランに厚みが増していき、とても楽しみながらプランを磨きあげていくことが出来ました。
地域の特色や背景などと関連付ながらプランを深く練っていったのですが、考えの中で、地域をいかに活性化させるかというテーマに向かった「流れとツール」をフレームワークとして学ぶことができました。
また、様々な地域から多様な視点を持つ参加者の方から意見が出るので、思考しながら多くの刺激を受け、自分の考えが非常に柔軟になっていくことを実感することができました。
今後の展望と想い
現在は事務局長という立場ですので、所属する組織において、いずれは地域プロデューサーとして活躍できる人材を多く育てることを目指したいと思っています。
今回、ソーシャルビジネス講座を受講して非常に印象に残ったこととしては、自分の持っているノウハウとチームiCHiアカデミーの提供するノウハウが合わさって自分の中でシステム化されたということでした。
このシステムがあれば何か課題にぶつかっても、そこに立ち返って物事を考えていけるのではないかなと思っています。
また、受講生同士が相談相手にもなりますので課題解決のヒントが得られるというのもすごくよかったです。当時のメンバーとは今も連絡を取り合っているのですが、すぐ気軽に相談できる相手が増えたというのも1つの財産だと思っています。
足柄上商工会 事務局長
津田 昌賦(つだ まさのり)
20代での全国一周の旅に出たころで地域の魅力を感じ、地元の地域新聞で記者となって独自の観点で地域の面白いネタを探して紹介してきた。その中で、中小・小規模事業者も地域の魅力を作っている素材の一つと感じ、より輝かせるお手伝いが出来ればと商工会に飛び込んだ。 商工会では、中小企業・小規模事業者の事業計画策定(補助金含む)や改善計画策定、資金計画、融資支援など経営改善事業に従事する傍ら、商品開発や販路開拓、地域振興施策などに取り組んでいる。
