波佐見「クラフト・ツーリズム産業」によるインバウンド誘客とアウトバウンド販路推進事業

HASAMI TOWN NAGASAKI
− 長崎県東彼杵郡波佐見町 −
事業概要

 波佐見町は日用食器を生産する400年の歴史ある全国屈指の「やきもの」の町。しかし、陶磁器の出荷額は1990年をピークに、2013年にはその2割にまで減少した。一方で農業も盛んなことから、町は農業と窯業を組み合わせたグリーン・クラフトツーリズム運動を展開するなど、陶磁器の生産・販売の町から観光のまちへと転換を図ってきた。こうした背景の中で、代表団体である西海陶器(株)は、地元の陶磁器産業を立て直すため、04年頃から、これまでの有田焼のOEM体制からの脱却を目指し、「カジュアルリッチな波佐見焼ブランド」を立ち上げた。海外ではロサンゼルスを拠点にテーブルウエアの販売を強化し、10年には2千坪の窯元の工場跡地を取得。人気の雑貨店、ギャラリー、カフェなどを誘致、「西の原地区」に30~40代の女性が訪れる観光拠点を整備した。町全体でも陶農レストラン、温泉施設、ホテルの開業があり、年間入込数100万人を超える新たな宿泊滞在型の観光地に成長している。
 本事業は、このような宿泊滞在型観光をベースに、モノ(陶磁器)と波佐見町を訪れて体感するコト(ツーリズム)を一体化し、それを波佐見焼の新たな価値とした「クラフト・ツーリズム」産業を構築して、インバウンド誘客とアウトバウンド拡大を目指すプロジェクトだ。

PROJECT MEMBERS
CONSORTIUM
西海陶器株式会社
一般社団法人 波佐見町観光協会
株式会社 新栄
東京西海株式会社
NPO法人グリーンクラフトツーリズム研究会
波佐見焼振興会
株式会社くらわんか
と
SUPPORTERS
ニック・サーズ 氏
Nick Szasz / from Canada
東京、大阪にて日本企業に勤め、その後福岡に移住。首都圏と比べて外国人が収集できる情報とコミュニティが少ないという状況を見て、福岡でネットワーク事業を立ち上げる。昨今は福岡におけるグローバル企業間のネットワーク構築にも携わる。糸島観光大使。
東京、大阪にて日本企業に勤め、その後福岡に移住。首都圏と比べて外国人が収集できる情報とコミュニティが少ないという状況を見て、福岡でネットワーク事業を立ち上げる。昨今は福岡におけるグローバル企業間のネットワーク構築にも携わる。糸島観光大使。
外国人専門家との共創による
磨き上げ

 今年度の取り組みとしてはツアー4本、2か所へのプロモーション、そして新たなブランドの立ち上げの計7つのプロジェクトを行った。
 評価と発信のために行ったファムツアーは、外国人旅行者向けの情報誌「Fukuoka Now」を発行するニック・サーズ氏を波佐見に招き、サーズ氏から「インパクトに欠けるエリアもあるが、川底に露出した陶石など興味深いものがあるため、紹介の仕方を工夫すれば魅力が増す。また、波佐見焼を器にしたコース料理は訪れる価値がある」という意見を得た。アドバイスを受け、波佐見焼の原点に迫る企画や、砕石所、役所跡など史跡の整備を開始。また、「西の原地区」のギャラリー、カフェなどは発信力があると「FUKUOK NOW」に掲載された。
 2つ目の海外のアーティストも興味を持つ登り窯、火入れ体験ツアーは、コロナ禍により地元高校生と体験した映像を海外に発信する取り組みに変えた。3つ目の富裕層向けのバスツアーは西鉄が運行する豪華なバス車両を使い、有田など近隣地域との連携を取り入れ、4つ目の福岡の料理人を招聘して行った器と食のツアーはフレンチ、イタリアン、日本料理が波佐見焼の魅力を引き出したことで、高い評価を得たツアーになった。
 プロモーションでは台湾で発信力のあるWEBメディア「初耳」を招聘。キーパーソンの取材や台湾の有名なカフェとのコラボのほか、「お花とお茶のワークショップ」と写真展の開催をWEBとSNSで発信。この結果、WEBサイトのPV数は約11万、SNSリーチ数は約38万と想定以上の結果を得られた。一方、香港向けのプロモーションでは、ジェシカ・ウオン氏、イヴ・リー氏を専門家として招き香港のアーティスト、器愛好家向けの展示会と、「カフェ×波佐見焼」コラボキャンペーンを実施した。展示会では商品の約9割が販売され、アンケートでは波佐見町への来訪意欲が76%となるなど高い評価を得た。WEBサイトのPV数は約60万、SNSリーチ数約9万(非公開グループを含む)とこちらも高い反応を示した。
 最後に、フィンランドを拠点に活動するマイヤ・プオスカリ氏との連携ブランドの「NUPPUJUNIOR」は、3歳から6歳の子どもたちの成長過程に合わせた機能性、安全性の高い商品をつくろうと、波佐見焼の食器、燕三条のカトラリー、今治のタオルを一つのブランドとして商品にする試みで、日本の伝統文化の良さを世界に発信しようと考えている。

専門家アドバイス &
需要拡大に向けた実施項目