Setouchi Cominca Stays 瀬戸内エリアの古民家・地域体験の磨き上げによるブランド形成事業

EHIME HIROSHIMA
− 愛媛県・広島県 −
事業概要

 (株)瀬戸内ブランドコーポレーション(せとうちDMO)は、2016年、瀬戸内地域の観光産業の活性化、価値の最大化を実現することを目的に、金融機関他46社が出資し設立した会社。その事業の柱のひとつとして、古民家宿泊施設のブランド形成を行っている。瀬戸内古民家ステイズと名付けられた宿泊施設を新たにつくる事業は、地域の遊休資源であり貴重な文化財である古民家や古い町並みを活用した事業で、これまでの観光視点で見ればマイナーな地域にも、共通したブランディングを行うことでインバウンドを含めた顧客に、瀬戸内の快適な滞在環境を提供し、観光消費を生み出すことができる。いわばソーシャルビジネスとして地域と協働で開発を進めてきた。
具体的な活動では、17年に愛媛県内子町にある国重要伝統的建築物2棟を地域のNPO法人と協働で「織」「久」という名で、古民家宿泊施設としてオープン。さらに19年秋には広島県庄原市で、同様に「長者屋」「不老仙」「こざこ森」の3棟をオープンした。いずれもこれまでは、旅のニーズに合う滞在施設が少ないことで機会ロスをしていた地域だったが、今は古い町並みや豊かな里山景観が他にはない魅力となっている。土地の食文化を楽しみ、生活文化を感じる体験と、食う、寝る、遊ぶがそろった旅行コンテンツを造成していく構えだ。

PROJECT MEMBERS
CONSORTIUM
株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション
株式会社古街計画
NPO法人Project A.Y.
内子まちづくり商店街協同組合
一般社団法人内子町観光協会
一般社団法人庄原観光推進機構
庄原商工会議所
Baton
と
SUPPORTERS
エブリン・テプロフ・
麦井 氏
Evelyn Teploff-Mugii /
from USA
NY出身。香港・日本でデザインおよび旅行に関する経験を積んだ後、金沢を拠点とするラグジュアリ専門旅行代理店であるThe Art of Travel(ザアートオブトラベル)の創設パートナーとして参画。
NY出身。香港・日本でデザインおよび旅行に関する経験を積んだ後、金沢を拠点とするラグジュアリ専門旅行代理店であるThe Art of Travel(ザアートオブトラベル)の創設パートナーとして参画。
外国人専門家との共創による
磨き上げ

 本事業のターゲットは、瀬戸内地域に来訪頻度の高い香港、台湾などのアジアの訪日客と、ゴールデンルート以外に興味を持つ欧米豪のリピーター層だ。
今回の事業では、モニターツアーによるターゲットとコンテンツの評価と、それにともなうプロモーションを柱とした。プロモーションでは海外メディア向けのPR事業、旅行業者向けのセールスプロモーション、エンドユーザーに向けてのFacebookとGoogleでのターゲティングアドを実施。この3つのプロモーション施策でブランドサイトのUU(ユニークユーザー)増大を図る狙いだ。
 モニターツアーには、欧米系のラグジュアリーツアー造成の専門家であるThe Art of Travelのエブリン・テフロフ・麦井氏に庄原、内子を訪れてもらった。
庄原については日本本来の農村や文化に興味を持つ旅行リテラシーの高いターゲットを、内子については、料理、デザイン、建築等の技術や技にこだわる、知的好奇心の高いターゲットなど、旅行者を細かく設定した。
 コミュニケーションについても、それぞれのターゲットに合わせた旅先の案内にとどまらず、事業の高い社会性と、ユネスコの無形文化遺産登録された日本の伝統建築技術を学べるといったテーマ設定を行い、メディアや旅行会社、旅行者が興味を持つような切り口を盛り込んだ。
 その結果、海外ジャーナリスト127人にアプローチでき、欧米の旅行マーケティングシーンで最近使われ始めた「Regenerative Travel(地域の再生につながる旅行)」というコンセプトで本事業を語れると、メディア掲載は74媒体を超え、目標の20~30媒体以上になったこともあり、今後も欧米では社会貢献性の高いトラベルの需要が一定数見込めることが分かった。
 旅行代理店に対しては米、豪の31社に対しウェビナーを2回実施し、香港、台湾には現地でそれぞれ5社に直接セールスを行った。概ねポジティブな反応だったものの、コロナ禍のため商談獲得には至っていない。最後にエンドユーザーに対しては、次の旅行先に選んでもらうオンラインターゲティングアドを実施し、12月から1月15日までの実施で、これまでの年間1.3万UUが21万UUに伸び、今後はこのUUをどう維持していくかを課題としている。また、Facebook上のエンゲージメント指標でも高い結果がでており、特に、台湾、フランスのユーザーの反応が良いことから、今後の戦略に活用できると考えている。

専門家アドバイス &
需要拡大に向けた実施項目