上信越高原国立公園志賀高原におけるウインターシーズンのコンテンツ強化事業

SHIGA KOGEN NAGANO
− 上信越高原国立公園志賀高原 −
事業概要

 国内有数の高原スキーリゾートである志賀高原。かつてはスキー修学旅行の受け入れがメインだったが、学生数も減少しており先細りの状況だった。近年、周辺のインバウンドスキー客が「スケール」「雪質」「バックカントリー」を求めて立ち寄るケースが多くなり、2017年以降外国人専門家などのアドバイスを受けながら、海外に向けたインバウンド誘客プロモーションを行い、英国や豪州、香港の旅行会社を中心に海外スキー客を誘致するルートを開拓してきた。こうした動きに、国内スキー修学旅行を顧客としていた地元企業もインバウンド強化の機運が生まれ、地域ぐるみの活動体制が整っていた。19年度の外国人延べ宿泊者数は59,705人と5年前の4.8倍にまで増えている。今後もインバウンドを核とした長期滞在、消費額の拡大に繋げていく取り組みが重要で、特に、ウインターシーズンのコンテンツ強化を進める方針だ。
 今年度は、豪州、台湾をターゲットに商品コンテンツの強化と受け入れ体制の構築を行った。豪州に向けてはバックカントリースキーツアーのほか、複数のスキー場のリストやゴンゴラを乗り継ぎながら楽しむガイド付きスキーツアーであるスキーサーカスの充実。台湾に向けては、キッズ&雪山初心者向け体験ツアーの造成を行った。造成にあたっては、志賀高原に隣接し、近くのスノーモンキーで知られる地獄谷の野猿公苑などと連携し、地域全体での受け入れる準備づくりを行いながら、志賀高原でしか味わえない商品づくりを行う。

PROJECT MEMBERS
CONSORTIUM
一般財団法人長野経済研究所
有限会社鶴井スポーツ企画
有限会社キタ(学校名:キタムラスノースポーツスクール)
株式会社志賀International Ski School
株式会社Ski-est
有限会社ワイズコーポレーション
(学校名:ワイズスノースポーツスクール)
株式会社コパンブラン
(学校名:SIA公認コパンブランアウトドアスクール)
ビアンカスキースクール
株式会社JPSS(学校名:ジャパンパラレルスキースクール)
株式会社奥志賀スキーセンター
ホテルタキモト株式会社
と
SUPPORTERS
マイク・ハリス 氏
Mike Harris / from New Zealand
株式会社キャニオンズ代表、一般社団法人みなかみ町観光協会理事。また、インバウンドビジネスの仕掛人として、活動拠点である地元・群馬県みなかみ町の地域活性化にも大きく貢献。
株式会社キャニオンズ代表、一般社団法人みなかみ町観光協会理事。また、インバウンドビジネスの仕掛人として、活動拠点である地元・群馬県みなかみ町の地域活性化にも大きく貢献。
外国人専門家との共創による
磨き上げ

 商品企画に先立ち、ニーズ把握のために日本在住の台湾、豪州の方にオンラインワークショップを実施した。その結果、雪質のよさ、パウダースノー、スキー以外で楽しめるアクティビティの存在、多様なゲレンデ、スノーモンキーなど地元の豊富な資源に改めて気づかされた。この良さを生かして台湾、豪州向けに2本のモニターツアーを実施することになった。台湾人向けツアーは、スキーの経験は少ないが、雪を生かしたアクティビティに関心が高い層をターゲットに設定。参加者からは、志賀高原のご当地キャラ「おこみん」やスノーシュー体験、リンゴデザートなどに高い評価を得た。豪州のターゲットには、毎年スキーで日本を訪れ、パウダースノーや広大なコースを好む層をターゲットにした。モニターツアーの実施に際してはコース選定から商品化の可能性まで外国人専門家に評価を行ってもらうことで、さらなる改善につなげていった。
 その外国人専門家には17年から参画するマイク・ハリス氏を起用。ニュージーランド出身で現在は群馬県みなかみ町でキャニオニングやラフティングといったアウトドアスポーツ会社を経営しており、地域の活性化にも積極的に携わっている。マイク・ハリス氏からは、パウダースノーを満喫できるバックカントリースキーの危険対応策として、スタッフの安全講習会の開催、地域の共通したルール(ガイド必須、専用ゲート、コース設定)づくり、地元関係者を含めた日ごろのコミュニケーションの重要性などのアドバイスを受けた。さらに、同じ県内で今回の「TOTTEOKIプロジェクト」にも参加する白馬村観光局もバックカントリースキーに力を入れており、先行していることから圏域同士の連携の必要性を訴えた。
 モニターツアー実施後の参加者の声としては、広大なスキーゲレンデ、パウダースノー、ガイド付きのツアーに高い評価を得るとともに、今後に向け、外国人にもわかりやすい案内看板の工夫、管理区域外の自己責任ルールの徹底、ガイド付き商品の充実を目的としたガイド会社誘致、といった意見が出され、具体的な課題解決へと動き出している。志賀高原は、地域の独自性をさらに磨き、日本人による外国人のためのリゾート形成、ジャパンブランドとしての「志賀高原」を高めるのが今の目標だ。

専門家アドバイス &
需要拡大に向けた実施項目