jeki 未来の商業施設ラボ

消費者として過ごしていた商業施設が、
いつの間にか、自分の思いを表現する場所になっていました

「食べる場」が「つくる場」に、
「食べる人」が「つくる人」に

40代になって、自分の裁量で仕事を動かせるようになった。時間にゆとりが生まれたせいか、ふと、これからの人生を考えるようになる。仕事ばかりしてきたつもりはないけれど、もっと何かできることがあるのでは、と。
会社帰り、今日もまた、自宅近くにある商業施設に立ち寄った。フードホールには、自分好みのサンドイッチをカスタムオーダーできる店がある。施設によく足を運んでいるからだろう、自分のこだわりなどをデータとしてしっかり把握してくれているのは、うれしい。おかげで私にとって、そのフードホールは心地よい場所となっている。
フードホールを賑わすのは、テナントだけではない。地域住民が運営している個性的なポップアップの飲食店もあった。お客さんで来ていた人がやっている飲食店では、料理をつくる様子を目の前で展開。ちょっとしたステージのようでもある。夢中でつくっている姿を見て、楽しそうだし、なんだかカッコイイな、と感じた。
そこでは、つくる手元が自動撮影され、つくり方動画やレシピも共有されている。材料が全部そろった料理キットも用意されているため、気に入れば施設にあるシェアキッチンを使って、その場で調理することもできるという仕組みだ。買ってきた酒のつまみをアレンジする程度しか料理経験のない自分も、「やってみようか」と心が動かされた。(料理に対するハードルがちょっと低くなった気がした

飲食体験の先に、食の
「自己表現」が見えてきた

ポップアップショップの多くは、もともと施設のお客さんとして来ていた人が週1、2回のペースで代わる代わる出店している、いわゆる「小商い」である。その様子は施設から発信され、ときには「つくってみたけど失敗展」なども開催。失敗体験を楽しく紹介するあたりは、小商いを応援している商業施設ならではの企画といえるだろう。
ある日、施設のアプリにプッシュ通知が入った。「サバサンドづくり」についてのレコメンドだった。よく利用している施設なので、私のデータは把握済み。食品の購買履歴、フードホールでのカスタムや会話の履歴、出身地の名産がサバで、サバにはことのほか思い入れがあることなどを理解してくれていた。その上で私の琴線に触れるメニューを提案してきたのだ。(夢の完全カスタムサバサンドに、気持ちが揺れた
初めてのモノづくりに不安があったが、とりあえず、商業施設の「ものづくりコンシェルジュ」を訪ねることに。(訪ねたところで何を相談すれば良いのかさえ分からない。ちょっと恥ずかしい気持ちもある

「優しさ」が伴走してくれたから、一歩踏み出せたと思う

私の戸惑いを消し去るように、コンシェルジュは優しい応対で迎えてくれた。さまざまなデータがすでに共有されていて、私の人となりも把握しているのだろう。カウンセリングは私目線で真摯に進められた。やがて、「つくりたい」という漠然とした思いが明確な形になる。(その後も寄り添い、伴走してくれたのが心強い)いつも立ち寄るテナントのサンドイッチ専門店からは、つくり方のノウハウなどについてのレクチャーを、地域の小商い実践者からは、どう鮮度を保ったままサバを取り寄せるか、といったアドバイスをもらうなど、さまざまなサポートを受けることになる。
商業施設のシェアキッチンを利用したサバサンドづくりは、妻や子どもたちと一緒に楽しく進めることができた。つくったサバサンドは、パパ友ファミリーにも振る舞った。驚いたことに、テナントのコーヒー専門店からサバサンドに合うコーヒーの提案もあった。ありがたい。さらに気持ちを高揚させたのは、使いやすくて性能が良いキッチンや器具類だ。
仕事ばかりで何の趣味もなかった自分が、潜在意識に気付き表現できたことに、これまでにない幸福感を覚えた。
家族と楽しい時間を過ごした帰り道、今度は「そろそろ小商いデビューはいかがですか」というレコメンドが入った。(さて、どうしようかな・・・

POINT 1
「ものづくり」へ自然に導き
実現する舞台
「消費」と「生産」の境界を
曖昧にし、
施設の利用が
モノづくりへ自然に
導かれる設計
  • テナントと小商いが隣り合う店舗環境
  • 小商いの活動を身近に・魅力的に感じられる、情報・体験提供
  • 初心者でも、その場ですぐにつくれる情報・材料・設備の提供
  • 施設での買物・利用データに基づく、モノづくりのパーソナルレコメンド
POINT 2
「ものづくり」の
共創・参加のパートナー
顧客に寄り添い、施設や地域の
多様な人たちを連携・編集して
モノづくりをサポート
  • 顧客のパーソナルデータを理解し、初心者にもやさしく真摯に寄り添うカウンセリング
  • 施設のテナントや地域の人たちのリソースを連携・編集して、モノづくりをサポート
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