Digital Signage Lab. デジタルサイネージラボ

スペシャルコラム 2023.3.31

LEDの普及、3D表現の台頭。デジタルサイネージのトレンドと展望

LEDの普及、3D表現の台頭。デジタルサイネージのトレンドと展望

普及が進むデジタルサイネージについて、ここ近年のトレンドについて押さえておきましょう。
今回は、トレンドを通じたデジタルサイネージの将来性について、弊社メディアソリューション
本部のデジタルサイネージ推進センター長、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム・理事の山本孝が説明します。

INDEX
1.高精細でフレームレス、壁一面も可能! ここ近年の最大のトピックは「LED」
2.デジタルサイネージのメジャメント(測定)について
3.ダイナミックデジタルOOHとは? 注目される活用方法について
4.広告領域の機会を拡げたタクシーアド
5.3D表現で観光資源化も!?

高精細でフレームレス、壁一面も可能!ここ近年の最大のトピックは「LED」

高精細でフレームレス、壁一面も可能! ここ近年の最大のトピックは「LED」

最近、あらゆるロケーションでLEDディスプレイの設置事例が増えています。ディスプレイの進化について多少、補足しますと、
従来のスペースが取られるCRT(ブラウン管モニター)に代わって2000年代に薄型かつ大型のLCD(液晶ディスプレイ)が
普及して設置のハードルが下がり、市場は大きく広がりました。
ただし壁面等に大型のサイネージを構成する際に、LCDでは何枚ものディスプレイを並べるため、どうしても目地(フレーム)が
見えてしまいます。ここ数年はファインピッチのLEDモジュールのコストダウンが進み、高精細でフレームレスの「ビデオウォール」も設置可能になりました。JR新宿駅構内の「新宿ウォール456」(ヨンゴーロク)が最たる例です。LEDだと比較的、自由なサイズの
サイネージを構成できることや、屋外用で高輝度なもの、曲面や吊り下げ、半透明なスリットタイプ等々、様々なバリエーションも
選択できるため、LEDの導入事例はあらゆるロケーションで増えていくでしょう。

デジタルサイネージのメジャメント(測定)について

デジタルサイネージのメジャメント(測定)について

引用元:DSCオーディエンスメジャメントガイドライン(第1版)

今後、デジタルサイネージのさらなる普及には、成果に対するメジャメント(測定)の確立が必須です。現状はメジャメントの標準化を目指し、国内でもいくつかの団体が検討を重ねています。例えば、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムでは、2022年10月に「OOHオーディエンス測定の新しいグローバルガイドライン」の日本語版を発行。
また、首都圏交通媒体事業者11社局で構成する「交通広告メジャメント標準化検討会」が同年4月に「交通広告における
メジャメントガイドライン(第1版)」を公開しています。
業界全体の標準化の実現にはもう数年かかりそうですが、価値の定量化ができればユーザーが採用しやすくなるだけに、
この動向をよく着目しておいてほしいです。

ダイナミックデジタルOOHとは?注目される活用方法について

ダイナミックデジタルOOHとは? 注目される活用方法について

トライアルの時期を含めると、5年以上前から導入されていたのがダイナミックDOOH(Dynamic Digital out of home、以下DDOOH)です。DDOOHは、センサーやデータを用いて、リアルタイムに外部情報を反映した表現を可能にします。例えば、当日の
天候や気温、湿度にあわせて、天気がいい日は柔軟剤で悪ければ部屋干し用洗剤、不快指数が高い日はビールといった、外部の
状況にあわせて広告クリエイティブを出し分けられます(参考までに、ジェイアール東日本企画では「指数連動型広告」と名づけて
います)。DDOOHは屋外のビジョンや都市圏の駅構内でも見かける機会が増えています。今やデジタルサイネージ活用の
1ジャンルとして、存在感を高めている手段とも言えます。

広告領域の機会を拡げたタクシーアド

広告領域の機会を拡げたタクシーアド

引用元:㈱バクトル20190931プレスリリース

近年、特に都市圏ではタクシー車内のサイネージも急速に普及しました。コロナ禍で公共交通機関が利用を控えて、密な状態を
避けるためにタクシー利用者が相対的に増えたことも追い風だったと言えるでしょう。乗車席の目の前に設置された小型の
タブレットは注目率が高く、接触時間も確保できるシチュエーションです。ターゲットもビジネス層など比較的セグメントされた
ユーザーが乗るという仮説も立てやすく、アドネットワーク経由でセグメンテーションされた広告配信を行う事例も増えています。
タクシーサイネージは、デジタルサイネージの広告領域の可能性を広げた成功事例の一つと言えます。

3D表現で観光資源化も!?

3D表現で観光資源化も!?

引用元:㈱クロススペース20220221プレスリリース

最近、特に話題になっている「3Dコンテンツ」もまた、デジタルサイネージ活用の将来性を担うと考えています。代表的な事例はJR新宿駅東口の交差点に面する「クロス新宿ビジョン」で展開された「3D巨大猫」。錯視を利用した3D表現が、現地での体験価値を
生み、それがSNS上でも拡散して大きなブームとなりました。サイネージの3Dコンテンツはその後、渋谷や表参道の屋外ビジョンや大阪駅構内のサイネージ等、多くの大型サイネージで展開されています。このように話題となるコンテンツをサイネージで提供することにより、SNS経由での接触者を獲得することもサイネージの効果の一つになっていくと言えるでしょう。将来的には都市景観や観光資源の施策として、例えば3Dアニマル巡礼のような、コンテンツを目当てに現地へ赴く人たちが出現するような各地の
サイネージ展開も、ぜひ期待したいところです。

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