渋谷パルコ1周年をモチベーションとしたファッション、カルチャーコンテンツの海外向け発信事業

SHIBUYA TOKYO
− 東京都渋谷区 −
事業概要

 日本のストリートカルチャー・ファッションの中心地である東京・渋谷。1973年のオープン以来、その文化を街とともに育んできた渋谷パルコは、2019年11月に「ファッション」「カルチャー」「エンターテインメント」「フード」「テクノロジー」を5つの柱とする“次世代型の商業施設”として復活した。オープン以降、公式WEBサイトの多言語化や全店舗の96%の免税対応、決算手段でも外国人客の半分を占める中国人向けにAlipay、WeChatPayの2つの電子決済ができる環境を整備した。取得した免税データ(国、性別、年齢、購入店舗)はマーケティングに活用され、その結果、オープンから20年2月までの売り上げの20%をインバウンド消費が担うまでになった。アフターコロナ後の成長も期待できることから、本事業では年齢層や性別を問わず、感性で消費する都市生活者をターゲットに渋谷パルコの復活1周年に合わせた海外発信の強化と売り上げの最大化を図る。軸となるのが伝説のカルチャー雑誌「relax」の特別復刊。メディアミックスや多言語に翻訳することで、海外にも広く「渋谷」「東京」「日本」を代表する出店ブランドや関係するアーティストを発信し「日本=カルチャー・ファッション」というイメージを印象付け、訪日のきっかけとなることを目指している。

PROJECT MEMBERS
CONSORTIUM
株式会社パルコ
株式会社セブンセンシズ
株式会社Grimoire
株式会社mov
株式会社RCKT
株式会社サンボード
株式会社スタジオゼロ
益井祐
と
SUPPORTERS
周 卉卉 氏
Kiki Zhou / from China
ファッションコンサルタント。マーケティングプランナー、クリエイティブディレクターとして、日本企業の中国進出におけるブランド戦略、コミュニケーション戦略を総合支援。 2018年にUNITY ZERO LIMITED創業。
ファッションコンサルタント。マーケティングプランナー、クリエイティブディレクターとして、日本企業の中国進出におけるブランド戦略、コミュニケーション戦略を総合支援。 2018年にUNITY ZERO LIMITED創業。
外国人専門家との共創による
磨き上げ

 本事業の軸となる「relax」は、96年から06年までマガジンハウスから刊行されていた雑誌で、斬新さと普遍性を兼ね備えた誌面デザインは、日本のみならず海外でもファンを獲得していた。今回の特別復刊号でも「relax」のフィルターを通した渋谷パルコや渋谷の街を特集し、パルコとも関係の深いアーティストやデザイナーが多く登場。復刊に合わせた期間限定での「relax」初の公式インスタグラムをスタートするなどSNSでの発信のほか、多言語対応のWEB、越境ECに対応した「relaxWeb」ストアの開設、日本語と英語の2言語でのフリーペーパー配布や展覧会など、多面的な発信を行うこととなった。海外への積極的な展開に際して外国人専門家として、Unity Zeroの卉卉(キキ:中国出身)氏を起用。氏は、10代で日本に渡り、マーチャンダイジング、ブランドコンサルティングを学んだ後、大手企業の中国事業戦略のパートナーとしてブランド開発、ビジネスコンサルティングの世界で活躍している。彼女からは「コロナ禍におけるインバウンド客へのアプローチについて、パルコの魅力を発信し続けることが重要。その方法としてWEB、SNSの活用が最重要」とのアドバイスを受けた。具体的には、日本在住中国人インフルエンサーによるweibo投稿を仕掛け、通常投稿の約200倍の「いいね!」を獲得した。そのため、追加施策として中国のファッション系インフルエンサーへ限定商品を贈り、weiboでの投稿をUnity Zeroを通して依頼、更なる拡散を図った。
 今回事業の成果としては、渋谷パルコHPへの海外からのアクセスは3月~5月に比べ130%の増加に成功。また、「relax」公式インスタグラムについては、1ヵ月で5,000人を超え、影響力のあるフォロアーも獲得できた。フリーペーパーについては15,000部作成し、パルコ全店の他国内330ヵ所、海外60ヵ所での配布を行った。「relax」展覧会についてはパルコミュージアムで開催し3,600人を動員。同時開催のパルコ1周年企画では、インフルエンサー200人以上を動員して、8,000人の入場者の獲得とフリーペーパーの配布、動画の海外配信を行うなど、展示会、フリーペーパー、HP、SNSと立体的なプロモーションを展開することができた。特に、インフルエンサーを起用した情報発信に関しては大きな手ごたえがあった。今後は、オープン当初のインバウンド売り上げ比率である20%を23年度までに取り戻し、25年度には30%にまで高める目標だ。

専門家アドバイス &
需要拡大に向けた実施項目