Digital Signage Lab. デジタルサイネージラボ

スペシャルコラム 2023.3.31

広告、販促、情報提供……デジタルサイネージの役割やあり方を考える

広告、販促、情報提供……デジタルサイネージの役割やあり方を考える

これから「デジタルサイネージ」の導入を検討するユーザーにとって、どのような目的で活用し、成果を導けばいいのでしょうか? ここでは、弊社メディアソリューション本部のデジタル
サイネージ推進センター長であり一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムの理事も
務める山本孝が、デジタルサイネージに関する基本事項について語っています。

INDEX
1.デジタルサイネージの主要な用途は4つ
2.「利益を生み出す目的」と「コストダウンを促す目的」
3.ロケーションの広がりについて
4.複数年度で設置や運用の予算を考える
5.デジタルサイネージに向いた場面で活用する

デジタルサイネージの主要な用途は4つ

デジタルサイネージの主要な用途は4つ

デジタルサイネージとは、屋外や交通機関、店頭などの商業施設、公共空間などで、ディスプレイなどの電子的な表示機器で
情報発信するメディアの総称です。2020年代に入り、かなり世の中に普及したメディアの1つと言えます。まずは、デジタル
サイネージの用途を押さえておくと、主に4点が挙げられます。

  • 1.広告
  • 2.販売促進
  • 3.インフォメーション(情報提供)
  • 4.エンターテインメント

実際の運用では、それぞれ単独の目的だけでなく、広告と販売促進を掛け合わせた用途や、インフォメーションに広告を組み
合わせた事例など、複合的な要因で実施する施策も多くあります。決してデジタルサイネージありきとならず、あらかじめ目的と
効果について深く検討することが重要です。

「利益を生み出す目的」と「コストダウンを促す目的」

デジタルサイネージは、用途を果たすための2種類の側面を持っています。それは「利益を生み出すためのデジタルサイネージ」と「コストダウンを促すためのデジタルサイネージ」の2側面です。例えば、商業施設で販売促進を目的に導入する場合、来店客数や
客単価を上げるための目的もあれば、POPやポスターなどに替わり、ランニングコストを下げるための設置も考えられます。
前者は広告や販促での利用で期待される役割です。後者は、デジタルサイネージを導入して製作費や人件費を抑えて店舗の
運営コストを下げる役割が期待されます。例えば、施設内のマップ等、問い合わせニーズの高い情報を常時表示しておけば、
インフォメーションの人的な手間を軽減でき、販促と情報提供をあわせ持った使い方も可能です。

ロケーションの広がりについて

ロケーションの広がりについて

「デジタルサイネージ」と聞いて、みなさんのイメージで浮かびやすいのは屋外の大型ビジョンや、駅構内の通路に連続して複数の
ディスプレイが並ぶシーンかもしれません。実際には2010年代以降、もっと他のさまざまな場所でも目にしているはずです。
例えば、スーパーマーケットの店頭や商品棚にあるタブレットだったり、駅の券売機やトレインチャンネルなど電車内に設置された
ディスプレイ、エレベーターやタクシーの中などの小型ディスプレイ、プロジェクションで映し出されるスクリーンなども
デジタルサイネージです。2020年代に入り、デジタルサイネージがすっかり日常のインフラとして生活に溶け込んでいます。

複数年度で設置や運用の予算を考える

複数年度で設置や運用の予算を考える

一方でデジタルサイネージは、導入したことの効果を正確に測りづらい側面があります。例えば、商業施設に導入して客数が増えたり客単価が上がった場合、どこまでデジタルサイネージの効果と言えるでしょうか? 紙のチラシやメール等、他の販促施策が複合的に作用したかもしれません。サイネージの導入効果を検証するための評価基準を予め想定しておく必要があります。この効果検証は運用継続のためにも必要なプロセスです。通常の液晶ディスプレイでは設置後5〜7年程度の運用を続けると、リプレイス(交換)の時期が来ます。効果へのエビデンスがないと、リプレイスのための新たな予算を確保しづらいでしょう。ですから導入時には、設置にあたっての導入効果の仮説を立てること。その上で複数年度を見据えて、効果検証の方法やリプレイスのタイミングも含めて予算を想定できると理想的です。

デジタルサイネージに向いた場面で活用する

最後に伝えたいことが、デジタルサイネージに複数の目的や役割を担わせ過ぎないことです。
なぜなら、用途によってはデジタルサイネージに向いた(もしくは、不向きな)ケースがあるからです。デジタルサイネージは一度に
複数の利用者に伝達しやすく、情報内容を容易に更新できる半面、大量の情報伝達は不向きです。さまざまなコミュニケーション
施策の中で、手段の1つとして適した場面で活用するといいでしょう。無理してサイネージ化せず、紙のリーフレットを用意した方が
いい場面やコルトンでも対応できるケースも多々あります。
プロジェクトのサイン計画の中で、デジタルサイネージが機能しやすい役割に絞って展開できると、顧客満足度が高く、豊かな
ユーザーエクスペリエンスの提供へとつながるでしょう。

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