移動者マーケティング 第3のターゲット「移動者」が切り拓く新たな可能性 移動を狙えば、"買う"はつくれる 加藤 肇 中里 栄悠 松本 阿礼 浜名信次

新刊「移動者マーケティング」 第3のターゲットが切り拓く新たな可能性

“移動者マーケティング”とは、読んで字の如く移動する生活者をターゲットにしたマーケティング手法であるこれは、「買い物の前後には移動がある」という事実に着目することで導き出された、シンプルな戦略アイデアである生活者、ショッパー(買物客)に次ぐ第3のターゲット、「移動者」が成熟消費社会に立ち向かう一つの切り札になる

01 買い物の前後には移動がある。

私たちはこの事実に着目し、「生活者」と「ショッパー(買物客)」の間にある「移動者」を第3のターゲットにした新しいマーケティングを提案します。移動者マーケティングは消費不況時代に風穴を開けるための、新しい提案です。

【移動者マーケティング】 生活者、移動者、ショッパー 移動シーンにある生活者を戦略的なターゲットにしたセグメントマーケティング手法 図を拡大する

02 AIDMからA時代の処方箋。

「買っても買わなくてもいいもの」であふれ返る超成熟消費時代。それは認知、好意が実際の行動には必ずしもつながらない、とても厳しい時代です。こうした時代の打開策としてまさに生み出されたのが移動者マーケティングなのです。


AttentionとActionの乖離 従来ではAttention、Interest、Desire、Memory、Actionが一つのグループであったが、今ではActionまでの距離が非常に遠くなっている。 図を拡大する

03 買い物の4割は移動中に決めている。

無数の店舗に囲まれた今の都市生活者は、まるで巨大なショッピングセンターの中で暮らしているようなもの。彼らはいつでもどこでも、思い立ったその瞬間に買い物を始められる環境にあります。移動者マーケティングは、この買い物が生まれる瞬間である移動シーンに着目したマーケティングです。

そのお店を見たとき16.3%、前にいた場所を出た後の移動中23.2%、前いた場所を出る直前24.4%、前日までに計画21.6%、その他14,5% そのお店を見たときと前にいた場所を出た後の移動中の割合は合計で39.5% 図を拡大する

04 移動を狙えば、「買う」はつくれる。

移動状態にある生活者(=移動者)は、ショッパー(買物客)に限りなく近い、いわば潜在的なショッパー。この移動者へのアプローチで、「お店に行く」「商品を買う」といった行動領域はもっと活性化させられるはずです。

マスマーケティングによってAIDMが生活者に起こる。移動者マーケティングによって行動喚起を移動者に促す。インストアマーケティングによってショッパーがAを起こす。 図を拡大する

05 カギは「移動者インサイト」。

移動者にはそれ特有の心理や行動原理があります。この「移動者インサイト」を刺激することこそが、行動へのトリガー(引き金)を引くことにつながります。移動者インサイトは別称「TPOインサイト」。移動のTPO(時/場所/場面)によって大きく揺れ動くこのインサイトが、移動者マーケティングのカギを握ります。

1stPlace 家から 2ndPlace 会社・学校などまでの間はチャージ、現実逃避、スロースタート、リフレッシュ、スイッチオン。2ndPlace 会社・学校などから1stPlace 家までの間はトレンドチェック、出会い系、クールダウン、まったり系、ハイテンション、同化、ガス抜き、個、ワークライフバランス、ごほうび、ほっとHOME。 図を拡大する

06 「移動」からブレイクスルーを。

人間の基本的な営みである移動行動。この移動のエネルギーをうまく利用しようとする移動者マーケティングは、さまざまな領域での広がりが期待されます。この全く新しいコンセプトで、次なるブレイクスルーの一歩を踏み出してみませんか?

コミュニケーションデザイン=移動者に刺さるクリエイティブの開発+移動者向けメディアプランニング、ビジネスデザイン=商品開発+新サービス創造+店づくり、場・社会のデザイン=地域社会貢献+街づくり、以上の3つのデザインから成り立つ、移動者マーケティング 図を拡大する